式, 等式, 方程式は、言葉が似ているがそれぞれ違う意味を持つ。[^koto_hajime__2021] [^koto_hajime__2021]: 3-1.いまさらきけない方程式(等式、方程式、恒等式、公式)
狭義の式 (数式, 計算式, expression)は、ただの数を含む数の表現である。それに対して数同士の関係を表す式(=や≦が含まれる)のうち、変数の値によっては成り立つ式を方程式(equation)、そうでないものを恒等式 (identity)(不等号の場合は絶対不等式)と呼ぶ。次の通り表にまとめた。
数学における狭義の式と関係を表す式の関係性は、プログラミングにおける式 (expression)と文 (statement)の関係性に近い。
3+4 # 式
x = 5+6 # 文
上付き文字、下付き文字は、英語では”superscript”, “subscript”という。上付き文字、下付き文字で修飾されていることは、それぞれ「サブ」「スープ」と呼ぶガイドラインがある。[^accessinghigherground_2013]例えば、$x_a^b$は「エックス サブ エー スープ ビー」でよい。 [^accessinghigherground_2013]: MATHSPEAK
割り算の法と合同について。ある数aとbをmで割ったときの余りが等しい時、「aとbはmを法として合同」という。フェノールとカテコールはヒドロキシ基を法としてどちらもベンゼン環が残る、みたいな話。
また、素数の法に対して合同な数のペアは、それぞれをn倍しても合同である。これを利用して分子のmodを求める。
多項式$P(x)$を$(x-a)$で割った余りは$P(a)$
証明は次の通り。
総和を$\sum$、総積を$\prod$で表す。下付き文字は繰り返しの範囲を示す。下付き文字が1文字のみの場合、その文字の取りうる範囲全ての総和・総積を意味する。
$log_2{x} = y$において、2を基数、底 (base)、xを真数、yを対数という。基数という言葉には他にも、集合の元の個数(要素の種類)を意味する cardinality number の訳語にも充てられている。
統計などで負の符号の影響を無視するために、平方和してから平方根を取ることがある。例えば標準偏差は、確率変数の各値の平方の和の平均から平均の平方を引いて、その平方根を取った値である。
とはいえ、平方和の平方根が常に元の値の和と一致するわけではない。また、似た概念としてeを底とするべき乗和の自然対数もある。これらの性質をまとめた。Desmos[🔐]も参照。
性質 | 平方和の平方根 | べき乗和の自然対数 |
---|---|---|
概観 | 元の値の和に対して傾き1の凹お椀型になる | 正の範囲では元の値の和に近く、負の範囲ではいい感じに収束 |
用途 | 0からの距離を重視したい場合に使う | 数直線上の大小関係を維持したいときに使う |
例 | 標準偏差 | InfoMCE関数 |
三角関数の性質を思い出すとき、単位円を思い浮かべる。そうすると、うっかりsin()やcos()が$x$を引数に取る関数だと勘違いしてしまうことがある。これを防ぐために、逆三角関数まで含めた図を頭に入れておくのも1つの方法である。また、高さ(sin)と幅(cos)では高さが先に定義された、と覚えておくのもよい。さらに言えば、コサイン類似度が頭にあるなら、向きが近いときに0なのがcosと覚えてもいい。
なお、逆三角関数といえば三角関数の逆関数であって、逆数ではない。ただし$sin^-1(x)$のような書き方をすると、逆関数($arcsin(x)$)と逆数($csc(x)$)のどちらを指しているか分からないため、このファイルでは$arcsin(x)$のように書く。余談だが、$log^2(x)$と書いて対数の2乗を指す流儀があるようだが、2階微分と紛らわしいので素直に括弧で括ってから累乗してほしい。
あべこべになりやすい理由は次の通りと思われる。
包含関係と論理和の違いは、考えをロジックツリーで整理する際に「OR型」「AND型」の違いとして現れる。[^ltkensyu_2017]「東京に住んでいる」という条件を、「千代田区 or 中央区 or…」とするか、「日本かつ首都」とするかの違いと考えれば良い。ベン図を描くことで取り違いを防ぐことができそうだ。 [^ltkensyu_2017]: ロジックツリーの作成
「PならばQ」については、「Qの時に限ってP」とした方が誤解がないと思われるが、語順が入れ替わってしまう。なお、英語では”P if and only if Q”[^wikipedia_necessity_and_sufficiency]と説明される。 [^wikipedia_necessity_and_sufficiency]: Simultaneous necessity and sufficiency
前述の注意を踏まえると、「ベン図にした時に大きいほうが必要条件、小さいほうが十分条件」と覚えるのが一番勘違いが無さそうだ。
証明の読み方・考え方を参考にした。
最も基本的な証明法。証明したい命題を「AならばB」とした時に、Aから導かれる別の主張を言うことを前進過程 (forward process)という。 Bを言うための、問題に特有の記号を含まない質問を抽象質問 (abstract question, key question)といい、その過程を後退過程 (backward process)という。前進過程と後退過程を繰り返し、それらの主張と質問が繋がるように試みることで、証明を解くことができる。
命題において、「〜が存在する」を存在量化詞 (existential quantifier)、「全ての〜に対して」を全称量化詞 (universal quantifier)という。
存在量化詞が含まれる時、特に後退過程で、そのような対象を具体的に構成してしまう(そのような数をxとおく、等)手法を構成法 (construction method)という。